医師の田口早桐です。
卵胞の発育不良に対する、新しい排卵誘発法をご紹介します。
Fertility and Sterility (Vol.101,No.5 May 2014)で紹介されていました。
タイトルは、A novel “delayed start” protocol with gonadotropin-releasing hormone antagonist improves outcomes in poor responders.
FSHが高いと、その周期の卵胞発育が良くないというのはよく知られています。
周期の前からFSHを下げる為にエストロゲン製剤(プレマリンなど)を使っておく、というのもよくやります。
今回の論文では、エストロゲンでFSHを下げておいてもHMG製剤を使った誘発(刺激周期)にあまり反応しなかった場合でも、月経開始2日目から1週間GnRH antagonist(セトロタイドやガニレストですね。
この論文ではガニレスト)を使ってから刺激を開始したら、卵が良く育った、というデータが載っています。
推察される機序としては、月経開始以降にしばらくFSHの上昇を抑えることによって様々な発育段階にある卵胞が充分にFSHに反応する状態になるのを待つことになるのではないかと述べられています。が、まだまだ曖昧で推察の域を出ません。
刺激周期に対する卵胞発育不良の場合、当院では確実に採卵できるように、まず刺激の程度を落として低~中刺激での採卵を試みることが多いのですが、スケジュール管理が比較的楽なのは刺激周期ですので、今後試してみる価値はありそうです。