受精着床学会に参加しました

受精着床学会に参加しました

医師の田口早桐です。

8月8日9日、大分で行われた受精着床学会に参加してきました。
当院からの発表に対してもたくさんのご意見や質問をいただき、随分参考になりました。ありがとうございました。

今話題なのは着床前診断で、以前は初期胚から一割球を取り出してFISH法(Fluorescence in situ hybridization法)という蛍光染色で調べるのが一般的でした。これですと、モザイク(正常染色体割球と異常染色体割球が混じっている場合)の場合に有効でないことや、手技の熟練が必要なことなど、課題がありました。
(実際、私などは目が疲れやすいので、マーカーとなる蛍光を見るのが、非常に苦痛でした。)

現在は、胚盤胞の段階でtrophectodermの一部を取ってきて、比較ゲノムハイブリダイザーション法(Array comparative genomic hybridization法)を行います。
網羅的で容易、複数個の細胞を解析できますから、格段に進歩しました。

良好胚の選別には我々も苦慮します。よく用いる形態的分類では不十分で、微分干渉顕微鏡を用いて細胞質内を細かく観察してみたり、タイムラプスで経時的観察を行ったり、酸素消費量を測定したり。
しかし、100%満足とはいえませんし、なによりも時間と労力がかかります。

それに比べて、上記の方法では、確実に良好胚を選ぶことができます。
ただ、現時点、日本では、倫理的に問題があるとされており、まだまだコンセンサスが必要なようです…。

私の立場からの個人的な感想になりますが、技術的に充分可能なことがすぐ使えないのはもどかしい限りです。