当院は、独自の研究を国内外の学会や論文で積極的に発表するとともに、海外の学会から最先端の理論や技術を取り入れています。
その一部をご紹介します。
受精能力の低い未成熟卵を専用の培養液にて培養し、体外で成熟させる技術です(in vitro maturation; IVM)。
通常のIVMは未成熟卵を採取して行います。
採取された卵子が予期せず未成熟卵であった場合に、緊急対応としてIVMを行う“レスキューIVM”も行っています。
一般的に、採卵した卵子は液体窒素を用いて凍結します。
この液体窒素よりもさらに急速に凍結できるスラッシュナイトロジェンを用いると、妊娠率のさらなる向上が期待できるのではないかと検討しています。
液体窒素の温度は-196℃で、1分間に-30,000℃の冷却効果があります。
一方でスラッシュナイトロジェンの温度は-210℃で、1分間に-135,000℃と、液体窒素の約5倍の速さで冷却します。
このことから、スラッシュナイトロジェンでは気化が起こらないため、更に速く卵子を凍結することが可能となっています。
凍結卵子を使用して妊娠を希望される場合、卵子を融解し、顕微授精をする必要があります。
その際に、Polscopeという特殊な顕微鏡を用いて紡錘体の位置を観察しながら授精させることで、紡錘体の損傷を防ぎ、妊娠率が上がる可能性があります。
顕微授精の際に紡錘体を確認するという技術は既に行われていますが、融解卵子は特に紡錘体の観察が必要ではないかと考えています。
通常の顕微授精
紡錘体が見えないので傷つけてしまう恐れがあり
ポロスコープでの顕微授精
紡錘体を可視化できるため、避けられる