胎児診断外来: NIPT (新型出生前診断/非侵襲性出生前遺伝学的検査)

NIPT (新型出生前診断/非侵襲性出生前遺伝学的検査)

NIPTとは、母体血液に含まれるおなかの赤ちゃんのDNAを調べるスクリーニング検査です。NIPTでは、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーについての可能性(陽性、陰性、判定保留)がわかります。
母体年齢が高くなるほど、21トリソミー(ダウン症候群)や18トリソミーの出生率が高くなります。

検査方法

妊娠10〜16週の母体から少量を採血し、血液中にあるDNAの断片(cfDNA:cell-free DNA)を分析します。
母体血液中にあるcfDNAの約10%は、もともと胎盤でつくられたもので、基本的には胎児と同じDNAです。そのため、これを分析することで胎児に21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーの可能性がわかります。ただし、病気の重さや症状はわかりません。
また、結果説明までには約2週間がかかります。検査結果が「陽性」であった場合で確定診断となる羊水検査を希望する可能性があるようなら、遅くとも妊娠15週頃までに検査を受けるとよいでしょう。

結果から分かること

胎児の21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミー、それぞれの「陽性」「陰性」「判定保留」のいずれかが示されます。
NIPTは、21トリソミー(ダウン症候群)の的中率が高いのが特徴ですが、18トリソミーと13トリソミーは、21トリソミー(ダウン症候群)ほど高くありません。ただし、非確定検査ですので、陽性や判定保留の結果などの確定診断には羊水検査をおすすめします。
NIPTコンソーシアム(*)の報告では、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーそれぞれの陽性的中率、および陰性的中率は以下の通りでした。
例えば、母体年齢40歳で21トリソミー(ダウン症候群)陽性という結果だった場合、その的中率は約94%です(おなかの赤ちゃんが本当に病気だった確率)。しかし、18トリソミーが陽性という結果だった場合は、その的中率は約50%になります。
一方、「陰性」の的中率はいずれの病気の場合も99%以上と信頼度の高い検査といえます。
また、判定保留だった場合は、遺伝カウンセリングを行い、再度NIPTを行うか、確定診断となる羊水検査を行うか、これ以上の検査を行わないかなどをおふたりに選択していただくことになります。

*NIPTの認定施設の多くが加入する団体

21トリソミーの場合

感度:99.1%、特異度:99.9%

年齢 疾患頻度※ 陽性的中率 陰性的中率
30歳 1/626(0.16%) 61.3% 99.99%
35歳 1/249(0.40%) 80.0% 99.99%
40歳 1/68(1.47%) 93.7% 99.98%
45歳 1/16(6.25%) 98.5% 99.94%

※妊娠12週の母親が21トリソミーの赤ちゃんを妊娠している確率 Snijder(1999)の値を使用

18トリソミーの場合

感度:99.9%、特異度:99.6%

年齢 疾患頻度※ 陽性的中率 陰性的中率
30歳 1/2100(0.15%) 10.6% 99.99%
35歳 1/840(0.12%) 22.9% 99.99%
40歳 1/230(0.43%) 52.2% 99.99%

※妊娠16週の母親が18トリソミーの赤ちゃんを妊娠している確率 Snijder(1999)の値を使用

13トリソミーの場合

感度:91.7%、特異度:99.7%

年齢 疾患頻度※ 陽性的中率 陰性的中率
30歳 1/6500(0.015%) 4.5% 99.99%
35歳 1/2600(0.038%) 10.5% 99.99%
40歳 1/700(0.14%) 30.4% 99.99%

※妊娠16週の母親が13トリソミーの赤ちゃんを妊娠している確率 Snijder(1999)の値を使用

陽性的中率と陰性的中率の罹患率による変化
NIPT コンソーシアム 患者説明資料より引用

検査料金

NIPT (新型出生前診断/非侵襲性出生前遺伝学的検査) ¥99,000(税込¥108,900)

※料金は予告無く変更する可能性があります。
※ご予約が必要となります。お電話でお問い合わせください。

NIPTのメリットとデメリット

メリット

・母体採血だけで検査ができるので流産の心配はほぼない
・陰性的中率が極めて高い
・21トリソミー(ダウン症候群)の陽性的中率が高い

デメリット

・非確定検査なので、NIPT陽性の場合は確定診断には羊水検査が必要
・判定保留の場合、その後の選択が悩ましい