私の生殖医療との最初の出会いは、医学部を卒業し医師国家試験に合格、研修医としてのトレーニングを開始した頃に、上司の教授から日本生殖医学会(当時は日本不妊学会)学術講演会に同道するよう誘われたことです。
当時勤務していた大学附属病院では不妊症患者は少なく、外来も独立した不妊外来はまだありませんでしたので、学術講演会で見聞した先進的な技術にたいへんな魅力を感じました。
その後も妊娠出産管理、子宮や卵巣の手術、ガン患者の管理などの経験を積むことに追われ、生殖医療を習得する機会はなかなか来なかったのですが、大学院生の頃に大学医局のOBで私がよくお世話になっていた先生がART専門クリニックを開業され、不妊症を治療していく上で患者さんの気持ちに寄り添っていくことがなにより大切であることを、その先生から教えられました。
その後、大学附属病院、その他の病院で生殖医療の経験を積み、紆余曲折を経ましたが、不妊治療を一生の仕事にする事を決断し、2017年10月に当院に入職いたしました。
不妊症の治療に携わって得られる生き甲斐は、ひとりひとりの患者様にいちばん合った治療法を発見することです。
その方法を用いてしっかりと妊娠し、赤ちゃん誕生という目標に到達する手助けができることが、私たち臨床医の喜びであると思います。
不妊症の原因および治療法は千差万別であり、日々進歩していくものなので、ご夫婦が成果を得られる治療法に巡り合えるために、今後も勉強を積んでいきたいと思います。