精子の数が一般的な数値よりも少ない状態です。
一般的に、1mlの精液中の精子の数が1500万以下の場合は乏精子症と言われます。
健常男性の1mlの精液中の精子の数は数億とされていますので、比較するとかなり低い数値です。
1mlの精液中の精子数によって乏精子症の程度は3つに分けられます。
精液中の精子数が基準値以下であるから必ずしも妊娠が難しいというわけではありません。
男性不妊の原因は様々で、特に精子の運動率で判断するケースは多く、また、乏精子症は精子無力症(精子の運動率が悪いケース)と併発していることが多くあります。
運動率が悪い状態の精子です。
精子の運動率とは、前に進む力のことを言い、健常男性の精子の運動率は55%といわれています。
それに対し精子の運動率は40%程度以下、また前進運動をする精子が25~30%の場合、精子無力症と診断されるといわれています。
精子の運動率はミトコンドリアの力が大きくかかわっているとされています。
精子無力症の原因は環境ホルモンなど有害物質による影響や、食生活・ストレスなどの可能性があるといわれていますが明確にわかっていません。
治療方針は経過や状態によって、人工授精、体外受精、顕微授精を行います。
正常でない、奇形の精子が多い状態であるケースです。
WHOが定めている精子の正常形態率は4%と定められており、96%以上が奇形である場合は奇形精子症であると診断されます。
健常男性でも80%以上の精子が奇形であり、正常な精子は20~15%程度であるといわれています。
また、正常精子の保有割合は年々減少傾向にあるといわれています。
奇形精子は先天性因子と後天性因子のものがあります。
明らかに奇形である精子が多く含まれる場合は先天性異常であるケースがほとんどです。
一方、軽度な奇形精子はストレス(睡眠不足・飲酒・食生活の乱れ・電磁波)や生活習慣が原因とされており、後天的な要因であるといわれています。
奇形精子である場合、正常精子と比較して妊娠の確率は低い傾向であるといわれていますが妊娠は可能であり、また、生まれれてくる赤ちゃんに影響があると断定はされていません。
正常な形状をしている精子であってもDNAの損傷などで男性不妊の原因となっているケースもあります。
精液中に精子が一匹もいない状態を無精子症といいます。
精液検査を2回行い、2回とも精液中に精子が認められなければ無精子症と診断されます。
一般男性約100人に1人は無精子症といわれており、また、男性不妊とされている方の10人に1人は無精子症が原因といわれています。
無精子症と診断された場合、投薬治療での改善はほぼ不可能です。
そのため、顕微鏡下精巣内精⼦採取術(MD-TESE)により精巣や精巣上体より精子回収を試みます。
1匹でも精子が見つかれば、卵子に精子を直接注入するICSI(顕微授精)によって妊娠が可能となります。
精子の形、精液中の精子の数、精子の運動状態の他に精子異常の原因として考えられることは、
などが考えられます。
精液中の白血球が多い場合、精子の運動率が低下するため受精困難になるといわれています。
当院ではWHOから示されている精子基準値をもとに判断し、治療を行っています。
精液量 | 1.4ml以上 |
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精子濃度 | 1ml中に1,600万個以上 |
運動率 | 42%以上 |
総運動精子数 | 940万個 |
前進運動率 | 30%以上 |
正常形態率 | 4%以上 |
奇形数 | 96%未満 |
白血球数 | 1ml中に100万個未満 |