オーク会は、不妊治療における最新の情報や技術を得るとともに、当院での研究成果を発表するため、国内外で行われる学会に積極的に参加しています。
「Kaufmann療法中に妊娠に至ったPOFの症例」
(岩木 有里、田口 早桐、船曳 美也子、林 輝美、多田 佳宏、苅田 正子、中村 嘉孝)
「胚盤胞移植の治療成績に影響する胚盤胞形態因子の探索 ~前向きコホート研究~」
(高野 智枝、天野 奈美子、小畠 美智子、佐治 史惠、Young Kate.L、黒木 愛、上浦 奈美、川北 彩夏、石川 瑞紀、中村 嘉孝)
Use of hyaluronan in the selection of sperm for intracytoplasmic sperm injection(ICSI): significant improvement in clinical outcomes-multicenter, double-blinded and randomized controlled trial
K.C.Worrilow,USA Human Reproduction,Vol.28,No.2
pp.306-314, 2013
体外受精は、確実に卵子と精子を出会わせるために考案されました。
しかし、精子の数が少ないとき、また体外受精では受精しなかった場合は、一匹の精子を選んで顕微授精を行います。
顕微授精は、卵子に精子を入れるので、DNAが正常な良好精子を選ぶことが、重要です。
精子は、正常形態、直進運動性良好のものが選ばれ、他に、IMSI、HBA(hyaluronan-bound)による選び方があります。
今回は、ICSIをする際に、ヒアルロナンを精子選別に用いる有用性についての論文です。
受精の際、卵子の周辺にある顆粒膜や透明帯が精子選別に重要な役割を果たしていると考えられています。
そのためヒアルロナンジェルを作成し、そこに付着する精子を集めると、成熟しDNA損傷のない精子を多く回収できるという報告があり、当院でも『ヒアルロン酸選別法』として行っています。
今回の論文は、ICSIが必要な802カップルに対し、HBAテスト(ヒアルロナンに付着する精子の率)で正常(65%より多い)か低下(65%以下)に分けた精子を、通常のICSIとヒアルロ選別併用ICSIで、胚発育や妊娠結果がどう異なるかを調べています。
結果は、HBAが正常群でも低下群でも、着床率はヒアルロ選別ICSIがややよい傾向にあり、臨床妊娠率は、低下群のみヒアルロ選別がかなりよい結果になりました。
有意差がでたのは、低下群での流産率です。HBA低下群において、ヒアルロ選別ICSI群は、有意に流産率が低かったのです。
また、ヒアルロ選別は全体に悪影響はありませんでした。
患者様からのお便り
◆他の病院で2年治療した挙句、匙を投げられた状態なのに、オークで大丈夫といわれ、実際に1年経たずに妊娠できました。
また前の病院と違い、オークの先生は対応のいい人ばかりで安心して通院することができ、お陰で娘を授かることができました。
遠方で仕事もあり、通院は大変でしたが思いきって転院して本当によかったです。ありがとうございました。〔T様〕
【 サマリー 】
日本癌治療学会はがん患者の卵子や精子を治療前に冷凍保存するための指針作りを始めたことを発表しました。
もともと抗がん剤治療や放射線治療の影響から不妊のリスクが高まるため、治療前に卵子や精子を冷凍保存するための取り組みが医療現場で広がっていました。
しかし、がん治療による不妊リスクなどの情報が患者に十分に伝わってないとされることから指針作りに着手することになりました。
全国の医療機関に2年後には周知ができる予定で進められています。
こちらの指針にはがんになった臓器や治療法ごとの不妊リスクや、卵子の採取に適した年齢などに関するものが盛り込まれるものになるようです。
趣 味 | 読書 |
---|---|
好きなもの | 猫の口元 |
モットー | 笑顔を忘れないように |
メッセージ | 体外受精セミナー、卵子凍結セミナーの司会を担当しています。 先生方のお話は面白く、とても分かりやすいので、少しでもご興味がありましたら、ぜひ一度ご参加ください。 |