通常の妊婦健診の超音波機器よりも精度の高い超音波機器を用いて、お腹の赤ちゃんの異常や血液の流れなどを詳しく調べることができます。染色体異常によって生じる体の一部の形態異常が判明することもあります。 以下では、週数ごとに何を観察するか、具体的にご説明いたします。
臍帯から赤ちゃんの心臓に向かう血液の流れやすさ(PI)を確認します。S:収縮期 D:拡張期 a:心房収縮から、PI(pulsatility index:拍動指数)を計算し、1.5以下が正常です。
この値が高い場合、血管の抵抗性が高く、胎児の低酸素が心配されるため発育に影響することがあります。
胎児と胎盤をつなぐ臍帯は、妊娠10カ月では長さ50cm、太さ2cm程度で、中に2本の動脈と1本の静脈が走行し、動脈は胎児の心臓から送り出される血液が胎盤に向かって流れ、静脈は胎盤から胎児のほうに向かって流れています。このうちの臍帯動脈は、胎児体内の内腸骨動脈の分枝でエコー所見(A)のように胎児の骨盤内で膀胱(B)の両脇を通って臍部に上行するように走行しています。
一方、胎児体内での臍帯静脈は臍部から肝臓、静脈管に向かって上行します。単一臍帯動脈の場合は、2本の動脈が1本になっている状態をいいます。
赤ちゃんの頭からおしりまでの長さ
妊娠8~11週ごろは胎児の発育に個人差が少ないため、胎児の頭からおしりまでの長さ(CRL:頭臀長)で出産予定日や妊娠週数を確定することができます。
妊娠12週以降は、BPD(大横径:胎児の頭の左右幅で一番大きいところの直径)を測って、赤ちゃんの発育をみます。
NT(Nuchal Translucency)は、妊娠11~13週頃ごろの赤ちゃんの首の後ろに見られるむくみのことをいい、多かれ少なかれすべての赤ちゃんに存在しています。NB(Nasal Bone)は、鼻骨のことを指します。NTは3mm以下、NBは1.5mm以上を標準とします。
NTが厚いことやNBが欠損していると染色体異常の可能性は上がりますが、NTが5mmあっても病気のない赤ちゃんはたくさん生まれています。一概にNTの厚さだけで病気と決めつけることはできません。
HDliveで見た胎児です。1は頭、2は耳、3は左右に腕、4は胴体、5は足です。
当院では4D・HDlive搭載の超音波を導入しており、より表現力や描出率も向上しました。光源の位置を変えることで陰影がつき、リアルな立体画像が提供可能です。
胎児の頭部横断面です。頭蓋内の構造が正中線を境に左右対称か、正中線上に嚢胞(袋状の病変)はないか、また脳内の脈絡叢(脳脊髄液の主要な産生器官)の大きさや嚢胞はないかなどを観察します。
三尖弁は、心臓の4つの部屋のうち、右心房と右心室の間にある弁のことです。
右心房から右心室へ流れる血流を測ります。
写真の所見では逆流は見られず、正常波形です。逆流がある場合、エコー像の下の血流を示す波形が中央の線より下に大きくなります。なかには正常児にも逆流を認めることもありますが、血流速度60cm/s 以下を標準としています。
カラードプラ法では、超音波プローブに近づく流れを赤で、プローブから遠ざかる流れを青系で示します。臍帯(へその緒)には、2本の細い動脈(臍帯動脈)が1本の太い静脈(臍帯静脈)に巻き付くようにしてあります。臍帯動脈には静脈血が流れていて、臍帯静脈には動脈血が流れています。
エコー写真では、2本の臍帯動脈が胎盤へと血液が流れていること(A)、1本の臍帯静脈が胎盤から胎児へと流れていること(B)がわかります。
胎児の心臓から出ている大動脈のうち弓状に曲がっている部分を大動脈弓といいます。
この大動脈弓に細い部分はないか(狭窄や離断)、腕頭動脈(1)、左総頚動脈(2)、左鎖骨下動脈(3)へ、それぞれつながっているかを診て、血管の走行異常がないかを確認します。
心臓は、右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋に分けられ、心房は血液を受け取り、心室は血液を送り出す役割をしています。また、心房の間には心房中隔、心室の間には心室中隔があります。心房中隔は、胎児期には隙間(卵円孔)が空いている状態ですが、これは出生後に自然に閉鎖します。心室中隔は、1つだった心室を左右2つの部屋に分ける壁として妊娠4~8周目頃につくられます。
しかし、この心室中隔が不十分で欠損(穴が空いている)がみられると心室中隔欠損(VSD:Ventricular Septal Defect)となります。VSDは心疾患の中で最も多く見られる症例で、欠損している位置や大きさによって生後、発育とともに自然に閉じるケースもあれば、手術が必要になるケースもあります。
このエコー写真は、右心房(1)、右心室(2)、左心房(3)、左心室(4)に加えて、右心室(2)左心室(4)の間の心室中隔(5)が確認できます。
赤ちゃんの性別は、男の子なら妊娠14~15週ごろ、女の子は妊娠17~18週ごろから確認できるようになります。
男の子は陰茎(ペニス)や陰嚢(睾丸)などが確認でき、女の子は股の間が木の葉様、またはコーヒー豆様に見えます。
このエコー写真は、男の子です。膀胱の前の突起物(1)、陰茎(2)、陰嚢(3)が確認できます。
足を横から見たエコー写真です。(1)足の裏、(2)足の指、(3)足首になります。
手足は、妊娠8~9週頃にできはじめ、妊娠10週頃には水かき状だった手足の指が分かれ始めます。
足裏のアーチ形成や、指の数など見ています。
Q | 妊婦健診で行う超音波検査と胎児精密検査は何が違うのですか? |
A | 通常の妊婦健診で行う超音波検査は主に母体の健康状態を確認するもので、胎児精密超音波検査は胎児の健康状態を確認します。 妊婦健診でも胎児の大きさや羊水量などチェックをしていますが妊婦さん 1 人にとれる時間は短く限られてしまいます。 胎児の健康状態を頭の先からつま先、胎盤や羊水量まで細かく確認するにはそれぞれの時期にあった項目を、時間を設けて細かく見ていく必要があります。 |
Q | 検査にかかる時間はどれくらいですか? |
A | ドクター診察+超音波検査で 1 時間枠とさせていただいております。 超音波検査の最後には HD-Live /4D エコーも見させていただいています。 |
Q | 胎児精密超音波検査では胎児の何をチェックするのですか? |
A | 胎児の心臓、脳、顔面、脊椎、大血管、生殖器、四肢、肺、胃、腸など全身のチェックに加え、胎盤、臍帯、羊水量などを確認します。 |
Q | 初期・中期・後期と時期が分かれていますが、どれか1つでも大丈夫ですか? |
A | 時期によって確認している項目が異なりますので、それぞれ受けていただくことがよいと考えます。 初期では無脳症などの脳の大きな異常、心臓の大きな異常、内臓逆位、腹壁欠損、臍帯ヘルニア、手足の欠損など大きな形態異常がないかチェックしています。 また首の後ろのむくみ(NT)は初期でのみ判断する項目となります。 中期後期では胎児も大きくなり、初期では確認できなかった細かな構造異常を確認しています。特に脳内の構造や血流、心臓の血管走行や構造異常、泌尿器生殖器の発達異常等、初期より倍の項目量を確認する必要があります。 |
Q | 中期後期の項目が初期より多いのであれば、初期は必要ないのでは? |
A | 項目量は胎児が大きくなることにより増えますが、 それよりも早い時期に見つけた方がメリットが大きいと考えられます。ご夫婦で話し合いどんな病気であっても受け入れるつもりであるにしても今後の胎児治療を選択できたり、適切な出産場所や時期を決めることができます。妊婦健診の中で行う超音波検査には限りがあるため、妊婦健診に加えて初期から胎児精密超音波検査を受ける意味があります。 |
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