一瀬 智実 看護師

看護師を目指したきっかけ

看護師を目指したきっかけは、おじい様の勧めとか？

そうですね。祖父が60歳頃に胃がんを患った時、看護師はいい仕事だよと勧めてくれました。 ただ、その当時はあまり乗り気ではなかったんです。看護師は『3K（きつい、汚い、危険）』と言われるほど大変な仕事でしたし、両親も『やめておいたほうがいい』と反対していました。でも、母が病院に勤めるようになって、改めて『看護師は素晴らしい仕事だよ』と言ってくれて、だんだんと考えが変わりました。そして23歳の時に、それまでの仕事を辞めて看護学校に入学しました。

23歳で看護学校に通い始めるというのは、年下の同級生と学ぶ経験だったのですね。

私のクラスは高校卒業直後の学生よりも、一度社会に出た経験を持つ人が多かったので、年齢差をあまり感じませんでした。同じように『やっぱり看護師になりたい』と思って進学してくる方も多かったです。

看護学校時代の経験が、今に生きてるなと思うことはありますか？

私は、卒論で『女性としてのQOL』をテーマに研究しました。がん患者の女性を担当させていただいた時に、いろいろお話をしました。がんになったことを受け入れるのも辛いことだったと思いますが、それ以上に母として、妻として、女性としての生き方について深く考えさせられました。 例えば、中学生の息子さんが修学旅行に行くのに、何も準備をしてあげられないとか、ご主人に申し訳ないと思っているとか…。それから女性としてやはり胸は大事じゃないですか。それを失うことを女性として否定されたような気持ちになると話してくれました。その時、どう支えればいいのか、本当に深く考えました。今でもあの経験は忘れられません。 不妊治療でも、妊娠できないことで女性として否定されたように感じる方もいらっしゃいますから、卒論の時の深く考えた経験が生きていると思います。

看護師としての経験とやりがい

看護師として働き始めてからはいかがでしたか。

看護学校に通いながら病院で働いていたこともあり、看護師の資格を取ってからも仕事の厳しさはそれほど感じませんでした。学生時代に勤めていた病院が良かったのかもしれませんが、むしろ楽しい経験が多く、看護師の仕事が自分に向いてたんだなと思うようになりました。 資格を取得後は、オーク会で働き始めました。その後の結婚や引っ越しを機に大阪を離れましたので、一度退職して、内科や小児科も経験しましたが、また大阪に戻り、そして再びオーク会でお世話になっています。

生殖医療に携わる中で、やりがいを感じる瞬間はどんな時ですか？

患者さんが妊娠し、当院を卒業される際に『ありがとうございました』と涙ながらに伝えてくださる時ですね。心から良かったと思います。

日々の中ではいかがですか？

私にも治療の経験があります。今は3歳になる息子がいますが、この子を授かるまで注射の痛みや思うようにうまくいかない辛かったこともありました。だから、患者さんが感じている痛みや不安に寄り添えるようにと努めています。その経験も仕事のやりがいにつながっていると感じています。不妊治療は辛い道のりですが、私も受けた分、新しい命を授かるためのお手伝いをしようと考えています。

不妊治療の経験があるんですね。

はい、私はこのオーク会で治療を受けていました。先生たちをはじめとしたスタッフへの信頼があり、「ここで治療したい！」と思いました。年齢のこともあり、妊娠するまでは辛いこともありましたが、今は子どもを授かったことだけでなく「オークで治療して良かった」と思っています。それは、治療の経験とオークの患者さんだった立場からも患者さんをサポートできることで、看護師である私にとってとても大切で、意味深いことと思っています。 例えば、「あの検査はどんな感じでしたか？」と患者さんに聞かれた時に、「あの検査はね」と患者としての目線や動線からも話ができ、自分の経験が活かせるので良かったと思います。

患者さんへの対応と考え方

そのほか、診療の中で特に心がけていることはありますか？

患者さんが安心して話せるよう、専門用語をなるべく使わず、わかりやすく説明することを大切にしています。また、どんな小さな不安や疑問でも気軽に相談してもらえるよう、笑顔で接することを心がけています。

心が折れそうな患者さんもいらっしゃると思いますが、どのように支えていますか？

患者さんの気持ちに寄り添うことを一番に考えています。治療について納得し、ストレスを少しでも軽くしていただけるように、時には私自身の治療経験をお話することもあります。また、外来で時間が取れない場合は、コールセンターを利用してじっくり話を聞いていただけるようにご案内して、次のフォローも十分できるようにオーク会では体制を整えています。 治療への疑問や質問もですが、モヤモヤした気持ちやいろいろな感情を安心して吐き出せる場所でいようと努めています。

プライベートと健康管理

お仕事が忙しい中、休日はどのようにリラックスされていますか？

休みの日は、ダラダラと韓流ドラマを観るのが一番のリフレッシュ方法です。平日が休みの日には、息子を早めに保育園に送り出し、お茶とお菓子をお供に迎えまでの間は韓流ドラマに没頭しています。物語に夢中になると、日常の疲れが吹き飛びます。

お茶とお菓子は何を？

コーヒーが多いですけど、お菓子は甘いもの…、しょっぱいものも好きです。 その時、家にあるお菓子をちょこちょことつまみながら。 韓流ドラマは、百何十話と長く続くので見応えがありますよ。ただ、思うように話が進んでいかなくてイライラすることもありますけど、それも含めて韓流ドラマが好きです。

おすすめのドラマはありますか？私、韓流ドラマをほとんど知らないんです。

そうですね。「カッコウの巣」はいかがですか。ちょっと前のドラマですけど、初心者にはいいかもしれませんので、ぜひ！韓流ドラマにはドロドロした復讐劇のストーリーが多いのですが、描写がリアルだったり真面目なシーンなんですけどツッコミどころがあったりして、見ていて面白いですよ。

「カッコウの巣」ですね、チェックしてみます。ご家族とは、どのように過ごしていますか？

娘2人は、もう成人しているので別々に暮らしています。でもよく家に帰ってきてくれるので、いろいろな話をしたり、息子の面倒をみてもらったりしています。 息子もお姉ちゃんたちが大好きで、歳は離れてはいますが、子どもたちの会話を聞いていると面白いです。それを見て、また治療頑張って良かったなと思いつつ、この感謝は患者さんへとお返ししようと…、そう思っています。

子育てと仕事と主婦と…いろいろ大変ですよね。健康管理はどのようにされていますか。

美容点滴やビタミンサプリを取り入れています。特に忙しい日々の中でも、自分の体調を整えることは患者さんにとっても重要なことだと思っています。 患者さんの中には、カロリー的には十分だろうけど、栄養素が足りていないという方もいると思います。みなさん、いろいろと調べられているので意識が高い方が多いですが、ビタミン不足にならないように気をつけてほしいですね。 あとは、いろいろあっても引きずらないように気持ちを切り替えるようにしています。

今後の挑戦と夢

最後に、今後挑戦してみたいことや夢について教えてください。

アートメイクに興味があります。看護師資格があれば学べるので、勉強してみたいという希望があります。女性は、何歳になっても女性でいたいですよね。今、眉はアートメイクにしたのですが、描かないでもいいし、両眉が不揃いになることもないし楽ですよ。 よかったら、お試しくださいね！