精子を送り出す機能に異常がある場合を「性機能障害」といいます。
男性不妊の原因は主に「造精機能障害」「性機能障害」「閉塞性精路障害」の3つに分類されます。
そのうち、2014年厚生労働省の調査によりますと、性機能障害の患者数が1996年調査結果と比較して4倍以上に上昇しています。
性機能障害には「性交障害(勃起障害)」「射精障害」などがあります。
ED(勃起障害)は、年齢とともに上昇する疾患です。
これにより、排卵期にタイミングをとれずにいると、妊娠はできません。
また、EDの原因にはほかにも喫煙、高血圧、糖尿病、肥満、薬剤の影響があります。
原因となる薬剤については、降圧薬、精神科の薬、抗潰瘍薬、抗男性ホルモン剤などがあります。
射精障害とは、勃起はできているのに射精がうまくできないことをいいます。
このような方は話を聞いていると意外に多く、決して特殊な精神状態の方ではありません。
タイミングを合わせる日に、それがプレッシャーとなり勃起できない、等のケースです。
また、勃起が持続しない原因の一つには、マスターベーションの方法の問題によるものもあります。
タイミングをとる日に、勃起できない場合や持続できない場合は、EDと同じ治療をします。
マスターベーションの方法の問題については、お話を聞いて、改善していくことになります。
射精機能障害はその症状によって、以下表に分類されます。
①射精機能低下 | 精液量や射精の勢いの低下、またオーガズムの低下など |
---|---|
②膣内射精障害 | マスターベーションでは射精できるが、膣内で射精できない |
③無射精 |
精液を作っている精嚢(せいのう)などに問題があるため精液を作れない、
もしくは精液を出すことができない等。 |
④早漏 |
自身の射精希望よりも早いタイミングに射精となる場合。
国際性医学会では、「挿入後1分以内に射精となる場合」と定義 |
⑤遅漏 | 自身の射精希望より遅いタイミングで射精となる場合 |
⑥逆行性障害 | 射精時に尿道口が閉じず、精液が体外でなく膀胱内へ逆行する |
一般的に加齢とともに射精機能は低下していきます。
精液量や射精の勢いの低下、またオーガズムの低下などがみられます。
カウンセリングにより現状を把握し、症状に応じて対処します。
膣内射精障害はマスターベーションでは射精できるが、膣内で射精できない状態であることをいいます。
膣内で射精できない要因として、
などがあります。
射精をしている(射精した感覚がある)のに尿道に精液が出てこない状態です。
精液を作っている精嚢(せいのう)などに問題があるため精液を作れない、もしくは精液を出すことができないなどの症状です。
性行為時に、自身の射精希望のタイミングよりも早い時間に射精してしまうことです。
早漏の定義として、国際性医学会(ISSM)は
「性行為時に「毎回」もしくは「ほぼ毎回」挿入前または挿入後1分以内に射精してしまうこと。
また射精を上手くコントロールできないことでの苦痛や悩み、不満を感じ性的行為を避ける症状」
と定義しています。
(参考文献:「
BJU Int. 2008 Aug;102(3):338-50. Epub 2008 May 21.
」)
性行為時に、自身の射精希望のタイミングよりも遅く射精してしまうことです。
遅漏原因としては不適切なマスターベーションによる膣内射精障害であるケースが多いようです。
射精時に尿道口が閉じず、精液が体外でなく膀胱内へ逆行してしまうケースです。
脊椎損傷や前立腺の手術などにより神経障害のある方、また糖尿病等の疾患のある方にみられる場合があります。
逆行性障害(逆行性射精障害)であるか否かの診断は射精後に精液放出がなく尿中に精液が含まれているか調べます。
逆行性障害は薬剤治療が基本になりますが、ED発症の原因になる成分の含まれる薬剤のため注意が必要です。
また、薬剤による治療で改善しないケースでは、洗浄した膀胱内へ射精を行い精子を採取後、人工授精または体外受精を行う方法もあります。