胚や胚盤胞、精子、卵子は、液体窒素に入れて凍結保存することでそのままの状態で半永久的に保存できます。
凍結時、細胞内に氷の結晶ができると細胞は破壊されて死んでしまうため耐凍剤(クライオプロテクタント)を用います。
凍結の原理の違いにより、「超急速ガラス化保存法」と「緩慢凍結法」という2つの手法があります。
1.平衡 | クライオプロテクタントを浸透させる。 |
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2.濃縮・脱水 | 細胞内の水分を脱水する。 |
3.冷却 | 細胞を凍らせる。 |
内容 |
クライオプロテクタントを浸透させた後、ガラス化液に投入すると、約1分で細胞が脱水・濃縮されます。
この状態では、凍結しても氷晶を形成しないので、液体窒素で瞬時に凍結します。 |
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1.平衡
平衡液(ES) 5minクライオプロテクタントが浸透する
2.濃縮・脱水
ガラス化液(VS) 1min水分がガラス化液に置換され細胞が濃縮する(氷晶ができない状態)
3.冷却
クライオトップにのせ、液体窒素へ
内容 | クライオプロテクタントを浸透させ、細胞外に氷晶を形成させることにより脱水・濃縮し、プログラムフリーザーという機械を用いて毎分0.3℃ずつ-30℃まで緩慢に冷却します。 |
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緩慢凍結法は、機械による一律の作業なので手間はかかりませんが、胚の状態に合わせた微調整ができず、凍結時の浸透圧が高いため、凍結胚の生存率はあまりよくありません。
反対に、超急速ガラス化保存法は熟練の手技が必要ですが、胚のダメージは殆どなく、生存率は100%近くあります。
当院では、経験をつんだエンブリオロジストが超急速ガラス化保存法を用いて、胚、胚盤胞、卵子の凍結を行っています。
精子は、耐凍処理後、チューブに分注して液体窒素に投入し凍結保存を行います。
1.加温 | 凍結した細胞を融解する。 |
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2.希釈 | クライオプロクテタントにより脱水・濃縮した細胞を元に戻す。 |
3.回復培養 | 細胞が元に戻って発育が再開するのを確認する。 |
液体窒素中で凍結した細胞を融解する際は、加温に時間がかかると脱ガラス化により細胞内に氷晶を生じ、細胞が壊れてしまうので、超急速加温法を用います。
この方法では、37℃に加温した融解液に凍結胚を投入することにより、+4,300°C分の超急速な加温が得られ、氷晶形成が防止されるので物理的損傷も避けられます。
超急速加温法で融解した胚の細胞は、クライオプロテクタントにより濃縮されて縮んだ状態です。溶液の浸透圧差による拡散作用を利用したクライオプロテクタントを希釈・除去し、細胞を元に戻していきます。
細胞膜は、細胞体積の急激な増加による膨化に弱いため、細胞膜を透過しないショ糖を浸透圧緩衝剤として用いて段階的に希釈していきます。
浸透圧を緩慢に低下させることで、細胞の過膨化や細胞膜の損傷を防いで、高い生存率が得られます。
1.加温
2.希釈
3.回復培養 数時間