卵巣予備能検査とは、「卵巣年齢を測る」といわれることもありますが、正確には、卵巣に残された卵子の数を推定し、今後、妊娠・出産のチャンスがどの程度残されているかを予測する検査です。
卵巣年齢検査とも呼ばれる血液に含まれる、抗ミュラー管ホルモン(AMH)などの血液検査や超音波検査などで判断します。
卵巣予備能検査には血液検査と超音波検査があります。
超音波検査では子宮内にあるAFC(胞状卵胞数)を測定します。
血液検査ではAMHの値を測定し卵巣予備検査を行います。
AMH(アンチミュラー管ホルモン/Anti-Mullerianhormone)とは、発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンで、女性の卵巣予備能を知る指標になると考えられています。
女性の卵巣の中には、生まれつきたくさんの原始卵胞があり、初経の頃より原始卵胞が活発化し、約190日かかって排卵します。
AMHは前胞状卵胞から分泌され、その測定値と発育卵胞の数は相関します。
従って、AMH濃度を測定することによって、残存する卵胞の数を測定し、卵巣年齢が何歳くらいか推定することができるのです。
卵胞の成熟を促す卵胞刺激ホルモン(FSH)も卵巣予備能の指標となるホルモンです。
卵巣機能が低下すると上昇することが分かっていますが、FSHは月経周期によって大きく変動するため、FSHの値から卵巣年齢を正確に予測することは困難です。
従ってAMHの測定は、最も早く正確に卵巣予備能の低下を感知できる検査と考えられます。
発育卵胞の数は25歳~30歳をピークに年齢とともに減少し、同時に血液中のAMH濃度も減少していきます。
AMH低濃度では、自然排卵が起こりにくいだけでなく、不妊治療の際に排卵誘発に反応しないことが多くなり、タイミング療法や人工授精、体外受精を予定していても、卵胞が発育しないため治療を断念せざるを得ないという事態が懸念されます。
そのような事態を避けるためには卵巣年齢を把握しておくことが重要です。
また、卵巣内の発育卵胞数を知ることによって適切な排卵誘発法を選択することができるため、逆に卵胞が育ちすぎて卵巣が腫れてしまう卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクを下げることができ、効率良く治療を進めることができます。
発育卵胞
卵巣中に蓄えられている発達前の卵胞。
卵子のもとが入っている。
前胞状卵胞
層が厚くなり、卵胞腔が出来はじめた卵胞。
胞状卵胞
卵胞が大きくなるとホルモンかがさらに分泌され、大きくなる。
成熟卵胞
排卵直前の卵胞。グラーフ卵胞とも呼ばれる。
通常の場合、月経周期の始めの頃は卵巣内にいくつかの卵胞が発育しますが、排卵時期が近づくとそのうちの1個だけが大きくなります。
これを主席卵胞と呼びます。
主席卵胞はホルモンの刺激を受けて成熟し、排卵します。 多嚢腫胞性卵巣症候群(PCOS)は、排卵時期が近づいても主席卵胞が発育せず、卵巣内に小さな卵胞がたくさんある状態です。
排卵が起こりにくくなり、不妊や無月経、稀発月経などの可能性があります。多嚢腫胞性卵巣ではAMH値が高くなります。
卵巣の状態は不妊治療の成否に大きく関わってきます。
AMHが高いとき、つまり多嚢腫胞性卵巣では、卵巣過剰刺激症候群(OHSS:排卵誘発に過剰に反応して多数の卵胞が発育し、卵巣が腫れる状態)になりやすいので、排卵誘発法を調整して刺激を減らす必要があります。
逆に、肥満や外因性FSH投与、重度内膜症、卵巣嚢腫手術後等、AMHが低いとき、つまり卵巣予備能力が低い状態では、卵巣への刺激が足りないと卵胞が育たないので、刺激を増やす必要があります。
また、卵巣備能力が低くなると刺激を増やしても反応しにくくなるので、AMH値が低い場合は早めに治療のステップアップすることをお勧めします。
次の方が、検査対象となります。
※自費診療になる場合がございます。